指で触れ火にかけかき混ぜ/る振付のレシピ in 新長田

米を研ごうと、水に濡れた米に指をつけると指紋の溝がひらく。まだ固い米の粒が指先にぶら下がる。手の皮膚は湿っている。染み出たでんぷん質の膜が手をにぎる。

2024年よりリサーチと上演を行なっている、料理のパフォーマンスを空地文庫で行う。出演者は料理のレシピの余白に書かれた言葉の振付(振付のレシピ)を元に身体を運ばせて、料理を行なっていく。

私たちがものを食べるためには食産業のネットワークに参入せずにはいられない。たとえそれが社会や自然環境における搾取や不平等な構造を強化するとしても。本企画は、誰もが否応なく巻き込まれてしまうこの状況そのものが、国家や企業を媒体に作用する、現代的な権力の姿であるという問題意識のもとにある。経済、身体、自然を貫く食のネットワークから自由になるための振付と、それを可能にする空間とはどのようなものか。
料理には、当たり前すぎてレシピには描かれない「自然な」動作が不可欠だ。切る、混ぜる、運ぶといった食べる=生きるための身振りを「舞踊譜」を用いて身体感覚を拡張させて行い、経済の論理に他ならない効率性・生産性との駆け引きと抵抗を模索する。

実施日程

2025年10月24.25日 両日18:30開場19時開演

会場名

空地文庫(長田区久保町二丁目2−8ガパオハウス)

参加費

投げ銭

申込先

https://forms.gle/WVmgHNChzWUd2TBK7

参加アーティスト

増川 建太

1993年東京都出身。現在は京都を拠点とする。大学時代に出会った舞踏に影響を受けて振付家・ダンサーとして活動する。近代という時代のなかで変容した身体を見つめ直す場として踊りの機会を設け、創作では踊り手・観客の知覚に働きかける振付言語を探求する。近年は、日本の戦前〜戦後における料理と食文化に焦点を当てたリサーチを継続し、言葉を用いた料理の「レシピ」としての舞踊譜を開発している。2025年2月に京都芸術センター主催事業『にんじん断面指なぞりショー』を発表。ワークショップ、エッセイの執筆、ドラマトゥルク(児玉北斗振付『Wound and Ground』2025年10月上演予定)の仕事も行う。